日常

無料オリジナル小説 ボラ魂3ー2

「……なんかスゴいバンド名ですね。聞いた事ないですよ……」

「そう? まあ確かにコアな人達ではあるわね」

「ま〜さしとかは聞かないんですか?」

「いいえ、聞いているわよ。ソロになる前からのファンだわ」

「ほんとですかっ!? いいですよねっ。あのダークでカッコいい感じがっ」

「確かにクールで素敵よね。このVーLIFEの読者質問のコーナーも面白いし」

「おおっ、“問われたら全て答えようぞ”ですね。おもしろいですよねっ」

「ええ。そういえば今月はおもしろい質問があってね」

 ペラペラと雑誌を捲る柚菜。その顔はどこか嬉しそうだ。真子は身を乗り出し雑誌を覗き見ながら、

「へえ〜。どれですか? 見せてくださいよ」

「いいわよ。この“ま〜さしの導師M・M”さんて人からの質問なんだけど」

「ぶっ!!!」

「ふふ、どうしたの?」

「い、いえ。何でもありません」

 嘘。明らかに問題があった。だが真子は出来るだけ表情に出さないようにする。すると柚菜は微笑みながら、

「そう? ならいいけど」

「え、ええ。で、その人がどうしたんですか……」

「うん。そのM・Mって人なんだけどね、質問がすごく個性的で面白いのよ」

「へ、へぇ〜。ちょっと、その人は解らないですね〜……」

「あらそう? あのね、これなんだけど」

 そう言い柚菜は雑誌の一面を真子に見せる。そこには、

 導師M・Mより。

 Q:漆黒ヲ纏イシ彼ハ過ギシ日々ニ何ヲ想ウテカ? 

 :ごめん、何を言っているのかよく解らない。だが多分ミカンだと思う。

「客観的に見るとすごい恥ずかしい!!」

「ぷっ、急に大声を出してどうしたの?」

 耐えきれずに吹き出した柚菜。それに対して真子は拗ねたように、

「むー……酷いですよ。私が書いたって解ってたくせに……」

「ふふ。いいえ、知らなかったわよ」

「とか言って、顔がさっきより笑顔だったじゃないですか」

「あら? そうだったかしら?」

「そうですよー。全く、ホントにイジワルなんですから」

「ふふ。そう。ところで、何でこんな怪文章を書いたのかしら?」

「怪文章じゃありません! これはま〜さしの初期設定『異次元から来た、よくわからない野菜をバラまく人』だった頃の喋り方を真似たものなんです! 最近懐かしいと思う事はありますか? って聞いたつもりなんですよっ!」

「わあ。サラリと気持ち悪い発言が出て来たわね。まあ、肝心のま〜さるには伝わってないけどね」

「それは放っといて下さい! ってか柚菜先輩もファンならそれぐらい解らないですかっ?」

「ああ。それ嘘。あなたに話を合わせただけだから」

「嘘!? じゃあ、私の同士をみつけたと思ったワクワクはどうしてくれるんですか!?」

「ごめん、何を言っているのかよく解らない。だが多分ミカンだと思う(笑)」

「だからそれはもういいですって!」

 全力のツッコみをする真子。顔からして相当に恥ずかしいようだ。一方、柚菜は口に手を当てて嗜虐的に笑いながら、

「ふふっ。やっぱり、あなたはこうやってイジるのが一番面白いわね」

「むー……私はイジられるために入部したわけじゃありませんよ……」

「あら? もしかして拗ねた?」

「別に拗ねてません……は〜あ。まあ、今のでなんとなく、柚菜先輩との話し方がわかった気がしますけどね……」

「そう。ならよかったじゃない」

「……なんだか素直に喜べませんけど」

「ふふ。そう」

 そう言い再び会話終了。教室に少しの沈黙が訪れる。だがそこに最初のような気まずさはない。むしろ心地よい静寂だ。真子はふと思う。案外、この調子ならやっていけるかも知れない、と。そして、そこに鞄を片手に元気よくドアを開けて、

「いや〜、お待たせ〜」

「あっ、先輩」

「おっ、真子。来てくれたんだなっ」

「当たり前ですよ。だって私も部員なんですから」

「そっか。じゃあよろしく頼むぜっ」

「はい。ところで何をしてたんですか?」

「ん? ああ、ちょっと校長室に用があってな」

「まさか何かやらかしたんですか?」

「違うって。部員(?)が増えたから申請しに行ってたんだよ」

「え? 報告も何も、ここって非公式じゃないんですか?」

「そんなわけないだろ〜。ちゃんと許可は取ってるって。そのつもりでお前も入部届けを出したんだろ?」

「いや、あれは先生に嘘ついて入部届けを貰っただけです。あまりにも様にならなかったんで」

「なんじゃそら……ったく、ウチはこれでもちゃんとした学校承認の集まりなんだぜ。な、柚菜?」

「ええ、まあね……ところで、あの人は何か言ってた?」

「え? ううん何も。普段通り陽気だったぞ」

「そう。ならいいわ」

「あの人?」

「ううん。何でもないわ……じゃあ、そろそろ始めましょうか」

「おうっ、そうだな。真子、柚菜。前に来いよ」

「えっ、あ、はい。わかりました」

 荷物を持って立ち上がる真子と柚菜。あの人。真子はその言葉が気になったが、今は目の前の事に集中することにした。

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マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 他に会社に再就職して、 親の老後資金と自分の為に 働きながら漫画を描いております。 どうかお力添えをよろしくお願いします。 拡散などをしていただけると非常にありがたいです。
マーティー木下

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オリジナル漫画は下記リンクから飛べますので是非ごらんください。

マーティー木下の代表作 自称いけづらの浅間君が主人公の漫画です。
いけづらってなんだろ、いけづらってなに。 自称いけづらの浅間愁と周りが繰り広げるぐだぐたコメディ漫画です。 短いページ数ですので、是非気軽にお読みください。

池面ーいけづらーhttps://mkinoshita-home.com/?p=908


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。
オリジナル小説エンジェルゲートあらすじ

少年、増田 輝希(ますだ てるき)は天使に取り憑かれていた。
「ご主人〜」
そう可愛らしい声で彼を呼ぶのは天使のミカ。
薄桃色のショートボブの少女だった。
「増田のマスター」
その隣で不機嫌そうに呟くもうひとりの天使レミ。
小麦色の褐色肌、さらっした黒の長髪を風になびかせていた。
この二人はタイプは違えど共に整った容姿をしており、何も知らない人がみれば羨むような状況だろう。だが、当の本人輝希の顔は浮かない。彼は二人の天使を交互に見て思うのだ。
一体、なんでこんな事になってしまったのかと。

*少年と天使が織りなすラブコメディです。

2011年頃に書いた作品になります。拙い作品ですがよろしくお願い致します。


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。

オリジナル小説ボラ魂あらすじ

私、真木真子は努力が嫌いだ。
禄那(よしな)市立美咲(みさき)高等学校に通う一年生・真木真子(まきまこ)。
毎日をぼんやりと過ごしていた彼女の前に、
ある日突然現れた先輩・椎野実(しいのみのる)。そして彼は戸惑う真子にこう言い放つ。
「ボランティア部に入ってくれ!!」

*ボランティア部を舞台にしたラブコメ作品です。2010年頃に書いた作品になります。
データが残っていたので、せっかくなのでサイトに順次掲載していきたいと思います。
めちゃくちゃ拙いですがよろしくお願いします。

https://mkinoshita-home.com/?p=2446
こちらもよろしくお願いします
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ブログでお菓子の紹介とかしたら稼げるのか

2023年9月28日
3億円詐欺られたweb漫画家・マーティー木下の部屋
ちーす! よくさ、ヤフーのトップ画面とかにグルメ記事がでるじゃん? あんな感じでコンビニの新商品とかをカスweb漫画家が紹介したら稼げるのかって検証でやんす …

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