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オリジナル小説

無料オリジナル小説 ボラ魂2ー16

 ピィイィイ!!

「プレイ!」

 実のサービスからスタートされる第六ゲーム。最後に成りかねないこの一戦。より気合いを入れ試合へと挑む。

「よしっ!」

 球を宙へと投げる実。常人離れした跳躍をみせ、真子コートへと狙いを定める。そして真っすぐラケットを振り出す。放たれたのはフラットサーブだ。

「しっ!」

 フラットサーブ。回転の少ない速度重視のサーブ。しかし、球速を出すためには高い身長を要する。つまり小柄な実には不向きなサーブと言える。だが、

「くっ!」

 それを補う程の跳躍。それが脅威の球速を生み出している。真子はかろうじてスイングに成功。しかし、

「よっしゃあ!」

 目前にはすでに実の姿。そして得意のボレー。体勢を立て直す暇さえない。必死に縋るが球には届かない。結果、真子は失点を許してしまう。

「15・ラヴ!」

 実は地面に膝をついた真子を見下ろしながら、

「やっぱ面倒くさいのは嫌いだな。っということでガンガン攻めてくぜっ!」

 真子は顔を上げ、悔しそうに実を睨みつけて、

「むっ。いいですよ。どこからでもかかって来て下さい」

 負けない。負けたくない。

「しっ!」

 再び放たれた実のフラットサーブ。相変わらずの球速。下手に返せば先の二の舞だろう。そんなヘマはしない。

「ふっ!」

 実の長所は機動性や瞬発性。ならば、真子はコントールとテクニックを駆使して闘うまでだ。そう考え、真子は球を見据える。実の動きを凝視。ここだ。狙いを定める。実の左サイドへと打球を放つ。この軌道ならボレーは難しいだろう。

「しっ!」

 案の定バックハンドでスイングした実。やや不格好なフォームで球を放つ。真子の予想通り。実はバックが得意ではないのだろう。フォアと比べて精巧度が相当に低い。球威もそれほどではない。これならば返す事は容易。真子は回転を加えて今度は逆サイドへとスイングした。

「15・オール!」

「よしっ!」

 4回ほど打ち合った後に空振りした実。真子はポイント獲得。これで実と並んだ。まだまだ勝負はこれから。絶対勝つ。心の中でそう意気込む。

 負けたくない? 本当に?

「ッ!?」

 声がした。だけど誰が発した訳でもない。真子の心の声だ。そう。さっきからずっと鳴り響いている。

 だめだ。よくない癖だ。

 真子は頭を振り、思考を切り替える。雑念を飛ばす。気合いを入れ直し、目の前を見据える。すると、

「えっ?」

 なぜか目前には球が迫っていた。どうやら試合は既に始まっていたらしい。しまった。そう思ったがもう遅い。

「くっ!」

 辛うじて球を返した真子。だがベストとは程遠い。誰でも打ち返せるようなイージーショットだ。もちろん実はそのチャンスを見逃さない。狙いを定めてジャンピングスマッシュを放つ。鋭い打球が真子コートへと迫る。速い。油断した事を除いても、返せるか解らない程の速度。真子は追いかける事も侭ならない。あっさりと一点を獲られてしまう。

「30・15!」

「はあ……やっちゃった……」

 またも実にリードを許した真子。今までずっと堪えてきたのに。ここに来て痛恨のミス。やってしまった。自然と深い溜め息が出てしまう。

「どうしたんだ真子? 凡ミスなんてらしくないな」

 真子らしくない失敗が気になったのだろう。ネットまで近寄り真子へと問い掛ける実。

「……先輩……いえ、ちょっとボーっとしてて」

 笑顔を取り繕う真子。勝負に水をさす訳にはいかない。愛想をふりまいて誤摩化す。実は相変わらずの笑顔で、

「そうか? まあドンマイっ。集中していこうぜっ」

「ええーー」

 なにをそんなに熱くなっているの? ほんとは面倒くさいくせに。

「っ!? うるさいっ! 黙れっ!」

「へ!? わりぃ、余計なお世話だったか?」

 思わず口をついて出た言葉。もちろん実に対して言ったわけではない。真子は慌てながら否定する。

「え? いやっ違いますよっ」

「まあお節介だったな。気にしないでくれっ。続きをやろうぜっ」

「あのっ、だからっ」

 矢継ぎ早に告げた実。珍しく気まずそうな表情。真子は必死に誤解を解こうとする。だが、実は苦笑いを浮かべ去って行く。誤解は解けずじまい。真子はまた大きな溜め息を一つ。

「はあ……なんでこうなるのかな……」

 崩れ始めた調子。鳴り止まない心の声。結果、実に気まずい思いをさせた。悪循環は広がるばかり。

「……今気にしても仕方ないか」

 誤解は後にでも解けば良い。真子はそう割り切り、気合いを入れ直す。前を見据える。再び迫る実のフラットサーブ。相変わらずの球速。真子は少し安心。実はどうやら特に気にしていないようだ。ならば、全力でぶつかるだけだ。

「ふっ!」

 先のように左サイドへと球を返す。対しバックハンドでスイングした実。さらに真子は逆サイドへと球を放つ。もう一度さっきのパターンを繰り返す。だが予測をしていたのだろう。実から再びポイントを獲る事は出来なかった。ギリギリのとこで食らい付かれ、フォアでスイングされてしまう。ならばこのまま長期戦に持ち込むまで。真子は意気込みを新たにスイング。しかし、

「しまっーー」

 先にミスをしたのは真子だった。タイミング、コントロール、共にバッチリ。だが、グリップの握りが甘かったようだ。真子はラケットを弾かれてしまう。無論、球は実コートまで届かなかった。

「40・15!」

 また開いた実との点差。あと1ポイントで実は1ゲーム獲得。真子はなんとしても阻止したいところ。両者にとって正念場だ。

 なのに、力が入らないのはなんでだろう?

「くっ!」

 実の左サイドへとレシーブした真子。再び実の弱点を狙いつつ長期戦を試みる。だが、実の放ったのはバックハンドスマッシュ。短期で決着をつけるつもりだろう。真子の逆サイドを打ち抜く。意表をつかれた真子。あっさりと球を見逃す。なぜこんなフェイントさえ解らなかったのだろう。簡単に見破れるはずなのに。真子はそう疑問に思う。だが答えは出ない。そして球は虚しくコートを転がっていった。

「ゲーム実 ワンゲームtファイブゲーム!」

「よっしゃぁ!」

「真木……」

 真子の痛恨のミス。それによりあっけなくワンゲーム終了。両手を挙げて喜ぶ実。複雑な表情を浮かべる美子。そして、それらを傍らに真子は、すうっ、と力が抜けるのを感じた。だめだ。今まで我慢してきたのに。ここで気を抜くわけにはいかない。だが、歯止めがきかない。おそらくワンゲームを実に獲られた。それが火種となったのだろう。否応無しに崩れ出す自制心。真子の中で塞き止めていた想いが溢れ出す。それは真子の弱い心。それは真子の最も嫌いな部分。そして、それは真子に再びこう告げた。

 もうやめちゃえばいいのに。

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マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 他に会社に再就職して、 親の老後資金と自分の為に 働きながら漫画を描いております。 どうかお力添えをよろしくお願いします。 拡散などをしていただけると非常にありがたいです。
マーティー木下

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マーティー木下の代表作 自称いけづらの浅間君が主人公の漫画です。
いけづらってなんだろ、いけづらってなに。 自称いけづらの浅間愁と周りが繰り広げるぐだぐたコメディ漫画です。 短いページ数ですので、是非気軽にお読みください。

池面ーいけづらーhttps://mkinoshita-home.com/?p=908


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。
オリジナル小説エンジェルゲートあらすじ

少年、増田 輝希(ますだ てるき)は天使に取り憑かれていた。
「ご主人〜」
そう可愛らしい声で彼を呼ぶのは天使のミカ。
薄桃色のショートボブの少女だった。
「増田のマスター」
その隣で不機嫌そうに呟くもうひとりの天使レミ。
小麦色の褐色肌、さらっした黒の長髪を風になびかせていた。
この二人はタイプは違えど共に整った容姿をしており、何も知らない人がみれば羨むような状況だろう。だが、当の本人輝希の顔は浮かない。彼は二人の天使を交互に見て思うのだ。
一体、なんでこんな事になってしまったのかと。

*少年と天使が織りなすラブコメディです。

2011年頃に書いた作品になります。拙い作品ですがよろしくお願い致します。


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。

オリジナル小説ボラ魂あらすじ

私、真木真子は努力が嫌いだ。
禄那(よしな)市立美咲(みさき)高等学校に通う一年生・真木真子(まきまこ)。
毎日をぼんやりと過ごしていた彼女の前に、
ある日突然現れた先輩・椎野実(しいのみのる)。そして彼は戸惑う真子にこう言い放つ。
「ボランティア部に入ってくれ!!」

*ボランティア部を舞台にしたラブコメ作品です。2010年頃に書いた作品になります。
データが残っていたので、せっかくなのでサイトに順次掲載していきたいと思います。
めちゃくちゃ拙いですがよろしくお願いします。

こちらもよろしくお願いします

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