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オリジナル小説 エンジェルゲート第2章ー18

エンジェルゲートサムネ

「まあ一旦落ち着いたら? ほらお茶」

 視線を元に戻すと、蛍がミカにお茶を差し出しているところだった。ミカは先程よりも大分落ち着いた様子で、

「あ、ありがとうございます」

 ぺこっと頭を下げお茶を受け取ろうとする。そして彼女と手が触れた瞬間、

 バッ!

 ミカは手を勢いよく引っ込めた。何事かと驚く蛍をよそにミカはまた辺りを確かめて、

「まただ……いる……この部屋のどこかに、」

 そして怯え震えた声で、

「増田が、いる」

「いやここにいるよ。ここに」

 ホラー映画調のトーンで話すミカ。正直事態についていけない輝希は呆れていた。あとさりげなく呼び捨てにされている。まあレミは普段からそうなので気にならないといえばならないのだが。

「いやまあ、そうなんですけど。何か、まだどこかに増田がいるようなですね」

 と周り以上に訳がわからないという様子の当人。ここまでくるとレミもさすがに心配になったのか、

「怖いよ、いやミカお前怖いよ何言ってんの?」

「いや違うんですってレミちゃん、別に変になったとかではなくて、本当ーー、ほら、あの、え、え、どうなって、えーー」

 一瞬の沈黙。そして次の瞬間、

「あばばばばばばっばばばっ」

 ミカ崩壊。大きな目をグルグルとさせて小声で何かをひたすら呟いている。

 こいつやべえ。

 その光景を見守る三人はおそらく皆そう思ったに違いない。輝希はごくり、と喉をならして、

「どうしようレミ。ミカが壊れた」

「えっと、もしかしてこの子ってアレルギーがあった? 卵とか」

 現実的な方向で原因を考える蛍。他二人はミカがバカなので、としか思ってなかったのでそれは意外な言葉だった。輝希は、なるほど! といった顔で、

「あっ! そうなのかも! レミ! ミカって食べちゃいけないものとかあった!?」

「ふむ」

 と顎に指をあてて思考しるレミ、その顔は真剣そのもの。そしてエビマヨを指差して、

「じゃあエビの上のパセリとかがヤバかったんじゃないか?」

「いや他にいくらでもあるだろ! なんで一番可能性の低そうなやつを選ぶの!?」

 と思いきや全く真面目に考えていなかったレミに輝希は声を上げる。そしてミカの取り皿を見て輝希は気付く。あ、あいつパセリ全部外して食べてる、と。

「冗談だ。私達にアレルギーなんてものはない。増田、分かるよな?」

「あ、そっか」

 そう言われて輝希は気付く。そう、彼女達は天使だった。レミは以前こう言っていた、自分達にとって食事は嗜好品のような物で、必ずしも必要としてはいない、と。つまり身体の構造が人間と違うのでそういった症状が出る事がないのだろう。レミは輝希に意図が伝わった事を察すると、

「まあ食べ過ぎとかだろう。蛍、気にしないでくれ」

「え、そう……ならいいけど」

 蛍にしては珍しく焦った表情をしていたが一応は納得したらしい。蛍は未だに『あばばば』と声を発するミカに少し戸惑いながらも、

「えと……ミカちゃん料理は美味しかった?」

「ハッ! 蛍さん!」

 ようやく正気に戻ったミカ。ぐるぐると回っていた瞳に光が戻る。いつものおっとりとした顔で蛍を見つめて、

「えっと料理ですか? もちろん美味しかったですよ。というかこっちの世界に来て初めて手料理というもの食べた気がしました」

 ニッコリと笑いながら感想を言うミカに対して、こっちの世界? と疑問を浮かべて蛍は苦笑い。   

「え? あうん。ありがと」

「……まだ、どっか調子悪いのかな?」

 とテーブルに身を乗り出して輝希に耳打ち。蛍にとっては不可解な物言いだが、レミと輝希にとってはミカの平常運転ぶりが分かる言葉だった。とはいえ自分の正体をばらしかねない言い方は控えてもらいたいな。あとで注意をしておくべきだな、と輝希は思う。

「いや大丈夫だよ。かなり失礼な事は言ったけど」

 お茶をズズズと啜り愛想を浮かべる輝希。あと、口に合わないかもしれないが毎日料理を作っている僕への態度も少しは直してもらいたいな。とも彼は考える。まあそっちの方は多分無駄なんだろうが。

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マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 漫画が好きです。コンビニも好きです。
マーティー木下

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マーティー木下の代表作 自称いけづらの浅間君が主人公の漫画です。
いけづらってなんだろ、いけづらってなに。 自称いけづらの浅間愁と周りが繰り広げるぐだぐたコメディ漫画です。 短いページ数ですので、是非気軽にお読みください。

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小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。
オリジナル小説エンジェルゲートあらすじ

少年、増田 輝希(ますだ てるき)は天使に取り憑かれていた。
「ご主人〜」
そう可愛らしい声で彼を呼ぶのは天使のミカ。
薄桃色のショートボブの少女だった。
「増田のマスター」
その隣で不機嫌そうに呟くもうひとりの天使レミ。
小麦色の褐色肌、さらっした黒の長髪を風になびかせていた。
この二人はタイプは違えど共に整った容姿をしており、何も知らない人がみれば羨むような状況だろう。だが、当の本人輝希の顔は浮かない。彼は二人の天使を交互に見て思うのだ。
一体、なんでこんな事になってしまったのかと。

*少年と天使が織りなすラブコメディです。

2011年頃に書いた作品になります。拙い作品ですがよろしくお願い致します。


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。

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禄那(よしな)市立美咲(みさき)高等学校に通う一年生・真木真子(まきまこ)。
毎日をぼんやりと過ごしていた彼女の前に、
ある日突然現れた先輩・椎野実(しいのみのる)。そして彼は戸惑う真子にこう言い放つ。
「ボランティア部に入ってくれ!!」

*ボランティア部を舞台にしたラブコメ作品です。2010年頃に書いた作品になります。
データが残っていたので、せっかくなのでサイトに順次掲載していきたいと思います。
めちゃくちゃ拙いですがよろしくお願いします。

https://mkinoshita-home.com/?p=2446
https://mkinoshita-home.com/?p=2975
https://mkinoshita-home.com/?p=3088
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