オリジナル小説

オリジナル小説 ボラ魂4−12

本気で怯えながらツッコむ真子。岡崎は額の汗を手の甲で拭いながら、

「危ない危ない。ノリで真木にも興奮するトコだったぜ」

「うん。ノリでもやめてよ。怖気がするから」

「ふ。こっちだって願い下げだぜ。誰がお前みたいな色気のない女に興奮するか」

 気取った笑みを見せる岡崎。そこで千佳子と美子は微笑みながら、

「そんな事ないよ〜。真子はすごく可愛いんだから〜」

「うん。私ほどじゃないけど魅力的な女の子だよ」

 そう言いフォローに入る二人。だが岡崎は半信半疑の様子だ。真子の薄い胸を凝視しながら、

「え〜。これがか〜?」

「アンタ、いまさらだけどすごく失礼なヤツよね」

「あは〜。普段は喧嘩ばっかりしてるから気付かないだけだよ〜」

「ふーん……」

 千佳子に言われて少し思案する岡崎。確かに自分は真木を女の子としてちゃんと見た事がないのかも知れない。そう思い意識を変えて真子を見つめる。他の三人に比べたらあれだが、女の子らしい輪郭で整った顔立ち。全体を纏う子供っぽいオーラ。なるほど。どちらかといえば可愛らしいほうなのかもしれない。無論好みではないが。岡崎はそんな風に思う。そして、

「……じゃあ、真木の好きなタイプってどういう人なんだ?」

 真面目な顔をして質問する岡崎。真子はまさか自分にくるとは思わなかったので少し顔を赤くしながら、

「えっ! なんで私にも聞くのよっ!?」

「いや、だって真木にだけ聞かないのも変だろ」

「いいわよっ別にそういうのは気にしなくてっ」

 そう言ってそっぽを見る真子。だが千佳子と美子は興味津々の笑顔で、

「え〜。いいじゃん教えてよ〜」

「そうそう。私も聞いた事ないし、言ってみ?」

 そう言いながら真子を見つめる二人。岡崎だけならまだしも、この二人に言われると真子は断りづらいものがあった。なので真子は顔を赤らめながら渋々、

「う……わかったよ……私が好きなのは、」

「「うんうん」」

 そこで真子は無意識のままに “あいつ”を思い浮かべた。そして上目使いで思考を巡らせながら、

「えっと、背が高くて、髪は金髪で、顔はまあイケメンで、少し乱暴で、でもやっぱり優しい人……かな?」

 思いの外あっさりと出て来た理想の男性像。すると千佳子は微笑みながら、美子は少し真面目な顔をしながら、

「あは〜。真子って不良さんがタイプなんだね〜」

「高校生で金髪ってあんまりいなくない? それって特定の誰かのこと?」

 そう言われて真子はハッとして顔を真っ赤にする。特定の誰か。そう、これは明らかに和也の事だった。自分でも特に意識しないまま彼の特徴を挙げていたのだ。だから真子はより焦った様子で手をブンブン振りながら、

「いやっなんとなくだからねっ。そんな深い意味はないからっ」

「ふ〜ん……まあそう言うことらしいよ岡崎君?」

 ニヤニヤしながら岡崎を横目でみる美子。岡崎は神妙な顔で頷きながら、

「そっかーー」

 そして満面の超爽やかスマイルで、

「じゃあオレ絶対そういう男にならないぜっ!」

 バンッ!!

 次の瞬間には岡崎の顔面に真子のビンタが決まっていた。真子は溜め息混じりで呆れながら、

「ったく、そう言うと思ったわよ」

「え? なんで? ただ正直に言っただけなのに……」

 どうやら本気で訳が分からない様子の岡崎。普段女の子として見ていないので真子の女心を傷つけた事にそもそも気付いていない様子だ。頭に疑問符を浮かべながら叩かれたトコを手で押さえている。真子は不機嫌に鼻を鳴らしながら、

「ふんっ。じゃあ次はアンタ達の好みを教えなさいよ。私も絶対そうならないようにするんだからっ!」

「ふ。悪いが俺の好みは水澄みたいな巨乳だ。だから真木じゃどのみち無理なーーへぶぁああ!!!」

 ドッシャアーー!!

 言い切る前に宙を舞った岡崎。顎に真子の右アッパーを受けて勢いよくぶっ飛ぶ。そして床へ仰向けに倒れてピクリとも動かなくなった。

「「リーダー!!」」

 大声で呼びかける奈川と松野。だが岡崎の返事はない。真子は凶悪な笑みを貼り付けて、

「次は奈川が答える番だけど、変な事を言ったら分かってるわよね?」

「は、はい。了解しました」

「そう。なら早く言ってみなさい」

「ハ、ハハ。もちろんボクの好みは真子様に決まってーー」

ABOUT ME
マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 漫画が好きです。コンビニも好きです。
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