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オリジナル小説 ボラ魂4−11

「よーし。じゃあここいらでまったりと会話でもしません?」

 再び各々の席へと戻った8名。岡崎もなんとか息を吹き返した。すると胡散臭い笑顔を浮かべてそんな事を言う。奈川と松野もそれぞれ怪しい程の笑顔で、

「わー。岡崎さんそれ素晴らしいですねー。じゃあ何について語り合います?」

「あ、じゃあじゃあ奈川さん。恋愛の話なんてどうですか?」

「あー。松野さんそれナイスですね。じゃあ好きな異性のタイプを全員に聞いていきません?」

「「それいいですねー」」

 事前に打ち合わせした感バリバリの会話運びをする岡崎達。真子は呆れながらジト目で、

「いやいや、何今の超不自然な会話。ただ美子達の好みを聞きたいだけじゃない」

「そんなことねぇよ。ただ好きなタイプを知りたいだけだ」

「だから私そう言ったよねっ!?」

 岡崎の意味不明な返しに対してツッコむ真子。すると左隣から美子と千佳子が微笑みながら、

「まあまあ落ち着こうよ。別に合コンで好みを聞くのは普通なんだからさ」

「あは〜。真子何だかさっきから全てにツッコんでるね〜」

「う、まあ確かにそうだね……でもコイツ等に聞かれるのってなんか嫌じゃない?」

 割と理不尽な事を言う真子。岡崎は微笑みながら、

「ふ。お前何を失礼なーー」

「うん。それは分かるよね」

「「「分かっちゃうの!?」」」

 さらっと同感した美子。岡崎達は三人揃って衝撃の声を上げる。すると美子はニッコリ笑って、

「うん。もっとサラっと聞いてくれた方がいいかな。ブサイクなんだしプライドとか捨ててさ」

「くっ。なんてスマイルでなんて理不尽な事を言う美少女なんだっ」

「だがそこがいいでござる」

「ああ、素晴らしいな」

 そう言い少し頬を赤らめる岡崎達。どうやら逆に嬉しかったらしい。真子は顔を引き攣らせて、

「なんか……アンタ等ってホント気持ち悪いわね」

 すると岡崎は美子に対する態度から一変。少しキレ気味に、

「うるせー!! お前に嫌われたって痛くも気持ち良くもないわ!! っていうことで美子ちゃん! ズバリ好きな男性のタイプは!?」

「え? イケメンの人だね」

 笑顔でそう言う美子。実に美子らしいサッパリとした答えだった。男子一同は妙に納得した顔をして、

「あ〜。つまり俺の事ね」

「なるほどなるほど。という事は俺だな」

「そうかそうか。俺の事か」

「ほう。美子って俺の事が好きだったのか」

そう言い自信満々の笑みを見せる岡崎達と実。勘違い野郎が4人誕生した瞬間だった。真子と柚菜と美子は満面の笑みで、

「うん。とりあえずアンタ等の事じゃないね」

「ええ。実死ね」

「あはは。うん。確かに全員ないね」

 ズーンと落ち込む岡崎達。だが実だけははガタン! と椅子から立ち上がり、

「おい美子! この前俺の事をカッコいいって言ったじゃないかっ!」

「そんな事言いましたっけ?」

「言ったよっ! もう一度よく見てみろよ!」

 実は勢いよく言って親指で自分の顔を指す。美子はジーっと実の顔を凝視する。そして眉をひそめながら、

「うーん……実さんは200万ぐらいかな?」

「何その額!? 整形に必要な費用!?」

「ううん。私への月々の献上金」

「もっと酷かった! でも了解だぜっ! 頑張ってボクは年収一千万の男になるよっ!」

 そう言い笑顔でガッツボーズする実。再び真子と柚菜は満面の笑みで、

「まあ、年収一千万じゃ足りないですけどね」

「ええ。実マジ死ね」

 ズーンと落ち込む実。意中の相手に二度も死ねと言われたのが相当ショックなのだろう。無言でそっと椅子に腰を下ろす。すると入れ替わりで復活した岡崎達が、

「くっ! 俺達はこの程度では諦めんぞっ!」

「ああ。俺達にはまだ希望があるっ!」

「その通りだ! 千佳子ちゃん! ズバリ好きなタイプは!?」

 最後の望みを賭けて千佳子へと訪ねる岡崎達。千佳子は純粋無垢な笑顔で、

「あはー。ジャ煮ーズの男の子だよ」

 ハードル高えぇえ!! そう心の中で思う三人組。だが次の瞬間には真面目な顔になり、

「来月からボイトレとダンスの稽古だな。忙しくなるぜ」

「奇遇だな。俺も山に籠りジャ煮ーズ修行に励むつもりだ」

「ふ。お前等もか。言っておくが俺は強いぜ」

 そう言いニヒルに微笑んで見つめ合う岡崎達。三人の間には気のせいか火花が散って見える。真子は溜め息を吐きながら、

「いやアンタ等、学校はどうすんの?」

「ふっ。そんなのバックレるに決まってるだろ」

「そうそう。ジャ煮ーズにさえなればこっちのもんしょっ」

「これでモテモテ出世街道開拓っすわ!!」

 無謀な挑戦をさも実現可能のように語る岡崎達。真子と千佳子は苦笑しながら、

「アンタ達、ジャ煮ーズをお笑い事務所と勘違いしてない?」

「あはー。確かに三人はジャ煮ーズに入れそうにないね〜」

「グッボォ! 水澄の滅多に聞けない中傷いただきましたっ!! 気持ちいー!!」

 千佳子の言葉に笑顔で発狂する奈川。何も褒められていないのに実に幸せそうな顔だ。美子は真面目な顔をして、

「いや今のは中傷じゃなくてただの正論だと思うけど?」

「グッボォオ!! 美子さんのもいただきましたぁあ!! 超気持ちいいー!!」

 続いて松野も笑顔で発狂する。両手を広げて今にも天に召されそうな勢いだ。そして真子も素の顔で、

「うん。普通の意見だよね」

「グッボォオ!! 真木さんのもいただきーーって気持ちよくなんて無いんだからねっ!!」

「なんでツンデレ!? より気持ち悪いよっ!」

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マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 漫画が好きです。コンビニも好きです。
マーティー木下

この度はこのようなクソ底辺web漫画家のサイトにお越しいただきありがとうございました。
オリジナル漫画は下記リンクから飛べますので是非ごらんください。

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ジャンプルーキー連載ページ
マーティー木下の代表作 自称いけづらの浅間君が主人公の漫画です。
いけづらってなんだろ、いけづらってなに。 自称いけづらの浅間愁と周りが繰り広げるぐだぐたコメディ漫画です。 短いページ数ですので、是非気軽にお読みください。

池面ーいけづらーhttps://mkinoshita-home.com/?p=908


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。
オリジナル小説エンジェルゲートあらすじ

少年、増田 輝希(ますだ てるき)は天使に取り憑かれていた。
「ご主人〜」
そう可愛らしい声で彼を呼ぶのは天使のミカ。
薄桃色のショートボブの少女だった。
「増田のマスター」
その隣で不機嫌そうに呟くもうひとりの天使レミ。
小麦色の褐色肌、さらっした黒の長髪を風になびかせていた。
この二人はタイプは違えど共に整った容姿をしており、何も知らない人がみれば羨むような状況だろう。だが、当の本人輝希の顔は浮かない。彼は二人の天使を交互に見て思うのだ。
一体、なんでこんな事になってしまったのかと。

*少年と天使が織りなすラブコメディです。

2011年頃に書いた作品になります。拙い作品ですがよろしくお願い致します。


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。

オリジナル小説ボラ魂あらすじ

私、真木真子は努力が嫌いだ。
禄那(よしな)市立美咲(みさき)高等学校に通う一年生・真木真子(まきまこ)。
毎日をぼんやりと過ごしていた彼女の前に、
ある日突然現れた先輩・椎野実(しいのみのる)。そして彼は戸惑う真子にこう言い放つ。
「ボランティア部に入ってくれ!!」

*ボランティア部を舞台にしたラブコメ作品です。2010年頃に書いた作品になります。
データが残っていたので、せっかくなのでサイトに順次掲載していきたいと思います。
めちゃくちゃ拙いですがよろしくお願いします。

https://mkinoshita-home.com/?p=2446
https://mkinoshita-home.com/?p=2975
https://mkinoshita-home.com/?p=3088
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