オリジナル小説

オリジナル小説 ボラ魂4−10

「モロチン?」

 再び疑問符を頭に浮かべる千佳子。美子は苦笑しながら、

「水澄。別にそんなの気にしなくていいからね」

「うん。ホント今のは忘れて。忘れやすいように後で岡崎の存在も消しておくから」

「そんな理由でオレ消されんのっ!?」

 ガーン! と驚く岡崎。真子は少し顔を赤くしながら、

「当たり前でしょっ。今度変な事言ったらホント消すわよ。っていうか奈川達も真面目にやんなかったら怒るからねっ!」

「ふ。全く、俺をこんな下品なリーダーと一緒にするなよ」

 そう言って自信満々に微笑む奈川。岡崎と入れ替わりで椅子から立ち上がる。そして、

「同じく美咲高校一年の奈川柳樹っ。アソコはあんまり大きくないですっ!」

「別にサイズの問題じゃねえよっ!!」

 全力でツッコむ真子。よく解らない勘違いをしていた奈川に大声でキレる。だが奈川はホッとした笑顔で、

「えっ! ホントに!? 良かった〜。小さいのを気にしてたんだよね〜」

「いや良くないから。結局言っちゃダメなのに変わりはないから」

 呆れたように呟く真子。そこで松野が腕組みをしながら誇らしげに、

「ふっ。リーダーも奈川もダメダメだな。根本から勘違いしてやがる」

「松野。アンタはちゃんとやるんでしょうね?」

「当たり前だ。見ていろ」

 そう言い奈川と入れ替わりで立ち上がる。そして堂々と、

「美咲高校一年! 松野凉也っ! アソコのサイズは別にモテと関係ないと思っている!」

「根本から間違ってるってそういう意味!? アンタ等もう死ねよ!!」

「うん。さすがにちょっと酷いよね」

 キレ全開の真子と苦笑いを浮かべる美子。松野はガタン! と椅子に腰を落として、

「くっ! なぜだ……俺の自己紹介のどこに問題が……」

「ちくしょう。一体何がいけないって言うんだ……」

「ああ、皆目検討もつかねえっすわ」

「ならモテるのやめた方がいいよ」

 ジト目で割と的確な事を言う真子。すると、

「ブラボー!! 素晴らしかったぞっ! そんなに落ち込むなよっ君達っ!」

「「「師匠!?」」」

 急に立ち上がった実。大声と拍手で岡崎達に賞賛を送る。そして顔を渋くして、

「うむ。初めてにしては上等な下ネタだったぞ」

「それは下ネタっていうんですか?」

 矛盾が気になりなんとなくツッコむ真子。実は顔の掘をさらに深くして、

「もちろんだ。あまり下成分を強調していないところが素晴らしかったよ」

「「「はいっ! ありがとうございますっ!」」」

「ただ、欲を言えば露出が足りなかったな」

「「「な〜るほどっ! 今度は全裸で自己紹介しますねっ!」」」

「ふ。それでは犯罪になってしまうだろう。せめてネクタイと靴下は着けておくべきだな」

「「「さすがっ(す!)(すわ!)(しょ!)」」」

「よし。それが解ったら次に活かしていきたまえ」

「「「はいっ!」」」

「はあ……なんかさらにメンドくなりそうだな」

 俯き深い溜め息を吐く真子。不安から頭を抱える。すると右隣から、

「お客様ご注文はお決まりですか?」

「……柚菜先輩。何のつもりです?」

 そこにはいつの間にか柚菜が立っていた。視線は手に持つ本に向けたままだ。真子は不審に思いジト目で問い掛ける。すると柚菜はさらっと、

「ええ。ウェイトレスのつもりです。ファミレスには普通いるでしょ」

「いや小説をガン見してるウェイトレスなんて普通いませんよ」

「いえ、違うわよ。これはハンディターミナルの代わりよ」

「はあ……そうなんですか」

「ええ。それで注文は決まったのかしら?」

「いや注文って、メニューがなければ分かりませんよ。ってかこれやる必要あるんですか?」

「大丈夫よ。普段一人でしかファミレスに行かなくてぼうっとメニューを眺めまくっているあなたなら無くてもオーダーぐらい決めれるはずよ」

「なんでそんなの知ってるんですか!?」

 衝撃を受ける真子。柚菜は微笑みながら、

「ふふ。まあなんだっていいじゃない。さあ、早く決めなさい」

「むう……釈然としませんけど分かりましたよ」

 不満に思いながらも押し黙る真子。確かモンジョリアのメニューはこんな感じだったな。と真子は行きつけのファミレスのメニューを想定する。そして、

「えーと、じゃあこの右上のチキンステーキセットを下さい」

「わかったわ。この右上の“へへへ。マサオの母ちゃんもセットで肉便器にしてやるぜ”を一つね」

「それは小説の右上に書いてある文ですよね!? っていうか何てモン読んでるんですかっ!?」

「え? 何って文庫サイズのエロ本よ」

「如何わしい小説ですら無かった!」

「ふふ。冗談よ」

 そう言いイタズラな微笑みを浮かべる柚菜。だが岡崎達は本性むき出しで、

「何ぃー!! エロ本だってー!!」

「うぉおお見せてくださぁあい!!」

「俺も俺もぉおーー!!!」

 見を乗り出し騒ぎ出す三人。その姿はまるで獣。ブチン! と真子の中で何かが切れる音がした。真子は凄まじい勢いで右腕を突き出しながら、

「静かにしろぉおーー!!」

 ドスッ!!! と岡崎の腹部に拳を放つ真子。渾身の右ストレートだ。岡崎は堪らず床に吹っ飛ばされる。そして腹部を抑えて転げ回りながら、

「ぐぉおお!! 俺の未来がぁあ!! あの娘とみるはずの明日がぁあ!!ーーガクッ」

「「リーダーー!!!」」

 そして岡崎はピクリともしなくなった。奈川と松野の絶叫が教室中に響いた。

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マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 漫画が好きです。コンビニも好きです。
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