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オリジナル小説 ボラ魂4−14

その言葉を待っていた岡崎と松野。モゾモゾと不気味な動きで立ち上がる。スーツの汚れを払いながら、

「ああ。でかしたぞ。これで胸なき者は文字通り亡き者となったのだ」

「全く天才だよアンタは。顔がイケメンならさぞモテただろうな」

 席に着く二人を見て真子は思わず、

「何者だよアンタ等。あと岡崎は殺すから」

 携帯を見ながらついツッコんでしまった真子。奈川は不敵に微笑み、

「ふふ。なんとでも言え。参加者でなくなったお前には何も出来んのだからな……ではいきなり始めちゃうぜっ! ブリッツゲーーム!!」

 そう言い立ち上がる奈川。ブリッツゲーム。プレッツェルを棒状に焼いたお菓子“ブリッツ”を使用する遊び。ブリッツを二人で両端から食べていく合コンの王道的イベントだ。こいつら私がいないからって好き勝手する気だな。そう思い真子は、

「ブリッツゲームって、いくらなんでもそれはーー」

「簡単に説明しよう。ブリッツゲームとは円形の枠に入った3人で争う競技だ」

「違った! 私の知ってるブリッツゲームじゃなかった!」

「奈川っ! それは俺達が考えた3人で出来る相撲だぞっ!!」

「やべっ! しくじったぜっ!!」

「だが問題ないっ! この誰もが知っているブリッツゲームに説明など不要なのだっ!!」

 そう言って胸ポッケを漁る岡崎と他二人。そして取り出したブリッツを掲げて立ち上がり、

「そりゃあ! いくぜお前等!!」

「「おうっ!」」

「ブリッツちっさ!! 何それ爪楊枝!?」

 岡崎達の持つブリッツを見て驚愕する真子。それは通常の半分以下の長さだった。おそらく、それを使い偶然を装って美子達にキスを迫るつもりだろう。呆れる程に下衆な作戦だった。岡崎達は真子のツッコミを無視。ブリッツを口にくわえ目を閉じて、

「「「さあバッチこ〜い!!」」」

「バカッ!! そんなのやらせるわけないでしょっ!!」

 当然の如く大声で阻止する真子。千佳子と美子は苦笑いで、

「う〜ん。さすがにそれはちょっと……」

「うん。想像しただけでも気持ち悪いよね」

 そう言って割とドン引きする二人。だが今の岡崎達はテンションマックスの状態。引かれた程度で凹んだりはしない。岡崎はポリポリとブリッツを食べながら、

「ふ……ならば作戦変更だっ!! 奈川っ! あれを出せえぇ!!」

 そう言われてズボンの中へ手を突っ込む奈川。勢いよく何かを取り出して、

「おうっ! 次はツイスターゲームじゃぁああ!!!」

「ファミレスでやれるわけないだろっ!! ってかよくその中に入ったな!」

「ちっ。なら次は野球拳で勝負だっ! 俺は強いぜえぇえ!!!」

「アンタは何者だよっ!? 勝手に全裸にでもなってろ!」

 奈川と松野による怒濤の合法セクハラ作戦。それらを全て突き返す真子。すると岡崎はバン! と机を叩いて、

「ふざけんなよ全部却下って!! じゃあオレ達はどうすればいいんだよっ!?」

「いやほんとアンタ達はどうしたいんだよっ!?」

 当然のツッコミを入れる真子。きっと彼等はテンションの上がり過ぎで訳が分からなくなっているのだろう。完全に暴走状態だった。しまいには岡崎は声を荒げて、

「ちっ! もう面倒くせえ!! 誰かボクちんとキスしようぜ〜!!」

 そう言いながら机にのぼるバカ。獣のような動きで千佳子達へとキス顔で迫る。下手なモンスターパニック映画よりもおぞましい光景。そしてその瞬間、真子の中で何かが弾けた。

 ダンッ!!

「いいかげんにしろぉお!!」

 ついに大声を上げてブチギレた真子。破壊する勢いで机をぶっ叩く。身を乗り出して怒り爆発の様子で、

「もう我慢できないわっ! 行こう美子っ! ち〜こ!」

 そう言って二人の方を振り向く真子。机の上にいる岡崎は驚愕。真面目な顔で、

「なっ! どういうつもりだよ真木っ!?」

「あんたこそどういうつもりよっ!? こんなふざけたことやらせるわけないでしょっ!」

 鬼の形相で睨みつける真子。だが岡崎達は少しも臆した様子はなく、

「はっ! 何をやろうがオレ達の勝手だろっ! もうお前に止める権利はないんだよっ!!」

「そうだっ! そうだっ!」

「無関係なヤツはひっこんでろっ!」

 あくまでも強気な姿勢を崩さない岡崎達。真子はもう一度バンッ!! と机を叩いて、

「だからってふざけ過ぎよっ!! 千佳子と美子だってこんなの嫌に決まってるでしょ!?」

 そう言い二人に同意を求める真子。それに対して千佳子は珍しくウンザリした苦笑い、美子は微笑んで、

「う〜ん。ここまでくるとちょっと迷惑かな〜」

「そうだね。こっちまで来てたら多分殺してたよ」

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マーティー木下@web漫画家
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