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無料オリジナル小説 ボラ魂 1ー4

        ★

 美咲高校から、徒歩十五分程の住宅街。グレー色の一軒家。洋式二階建て。中々立派。真子の家。

「ただいま……」

 学校から走り続けた真子。疲労困憊。声もあまり出ない。力なく扉を開け、玄関へ。

「おかえり〜〜」

 真子を迎えたのは母。愛想のよい、普通のおばさん。長髪で割と若い印象だ。

「遅かったわね、“テニス部”はやめたんでしょ? また寄り道?」

「うん……まあ、今日は色々あってね」

 ボランティア部の勧誘を受けた。等とは言えない。真子は、中学でボランティア部に所属していた時、母をひどく心配させた。だから言えない。

「そう? ならいいけど。じゃあ、着替えて夕食にしなさい」

 軽く微笑む母。それに明るく応え、真子は部屋へ向かった。

「ふう、疲れたな」

 二階。真子の自室。女の子らしい小物に溢れた部屋。他にはテレビ、ベッド、机など。広さは六畳。

 真子はブレザーを脱ぎハンガーへ掛ける。そして思う。今日の事。

「まさか、ボランティア部があったなんて」

 真子はワイシャツを脱ぎ、溜め息をひとつ。

 しかも知っていた、自分の過去の事。元ボランティア部の部長。内定目当て。はみ出し者の集まり。と言った事実を。

「ううん、もうやめよう」

 真子は思考中断。考えるのはよそう。無駄だ。掛けてあった着替えを取る。真子の部屋着、ピンクのワンポイントTシャツ。

「よっと」

 それに素早く着替えて、真子は一階リビングへと駆けていった。

 

         ★

 

 ーー何がしたいのか分からない。

 思春期にはそう言う時期があると思う。

 八月。市内のとある中学。教室の一室。窓側の机。窓辺から退屈そうに外を眺めて、三年生の真木真子はそう考えた。

 真子のいる教室。ボランティア部の部室。だが見渡しても他に人はいない。真子ひとりだけ。

「今日も退屈だなぁ」

 欠伸を軽く一回。グラウンドを見下ろす。そこには部活に勤しむ学生。少し前まで自分もあの場にいた。

「まあ、どーでもいいけど」

 ただ辛かった。だからやめた。それだけ。もう終わったことだ。

「ふぁ〜あ」

 そして真子はボランティア部に入部した。特に深い意味はない。校則上仕方なくだ。部活に所属していないと内心が悪くなるから。だからだ。

 周りを見渡す。だれもいない。というか入部して以来、一人を除いて見た事すらない。だが、来ても真子とて何か活動するわけでもない。部長。その肩書きからなんとなくここにいるだけだ。

「ふぅ〜、そろそろ帰るかな」

 眠い目を擦る。立ち上がる。今日の部活終了。お疲れさま。なんとなく心の中で言ってみる。意味はない。ただ暇だから。退屈。だから今日もこの教室に来てしまったのだ。

「毎日毎日、飽きねぇの? 部長さん」

 教室の入り口。男がいた。同じ三年生。部内唯一の知り合い。長身。着崩した上着。染めた金髪。ついでに左耳にピアス。もちろん校則違反。真子のよく知る男。

「まあ、部長だし」

 真子は、男ーー氷野和也ひのかずやの方へ歩き出す。いつの間にか習慣になっていた。和也がきたら部活終了。チャイムと同じ。何気ない日常の一コマ。でも悪くない気分だった。

「そんなん、形だけだし、どーでもいいだろ?」

 真子と和也は並んで歩き出す。真子は鞄を退屈そうにブラブラ揺らして。和也はポッケに両手を突っ込んだまま。良く言えばホスト系。悪く言えばチンピラ。和也はそんな感じの男だった。

「確かにどーでもいいけど。なんとなくね」

「ふ〜ん。どうせ誰も来ないのに暇じゃね? 入部してからお前以外のやつを見た事ないし」

「まあね。でもいつもあんたが来てくれんじゃん」

「なんだそれ? もしかして俺に惚れてんのか?」

「ば〜か。そんな訳ないでしょ」

 二人の出会いは数ヶ月前のこと。ボランティア部に入部した当初。その日も窓際でぼ〜っとしていた真子。そこに気まぐれで顔をだした和也。お互いに初めて見た自分以外の部員。なんとなく世間話。すると二人とも“ま〜さし”のファンと判明。当然の如く意気投合。テンション上昇。互いに引かれ合う二人。そしてそれ以来、こうして一緒に帰る事が当然のようになっていったのだ。

「そういやのやつ、また風邪ひいてよ〜〜。全く弱え〜弟だよな〜。誰に似たんだか」

「たしかに。あんた風邪とか引きそうにないもんね。馬鹿だし」

「なんだよ。お前も似たようなもんだろ〜」

「むっ。私だって風邪とか引くよっ。馬鹿だけど」

「じゃあ、俺より駄目じゃん……」

 何気ない世間話。でも小さな充実。四階からあっという間に下駄箱まで着いた。退屈だけど悪くない。そんな毎日の連続だった。

「ちょい待って」

 校外。校門を出てすぐそこ。和也はいつものように煙草を取り出す。真子は呆れたように、

「この前見つかったばっかなのに、懲りないね〜」

「いいんだよ〜。教師なんて適当に言わせとけば」

 和也はいわゆる不良だ。学校でもかなり有名な。だが、言葉遣いこそ荒いが、悪い奴ではない。それは一緒にいて感じた。でも教師にとってはただの迷惑な不良。学校の汚点。だから腫れ物扱いを受けていた。でも真子にはそんなことは関係かった。

「うん、そうだね。どーでもいいよね」

 夕焼けの空。煙草の煙の行方を見つめながら、真子は呟いた。周りの意見なんて関係ない。自分は、好きでこいつといるのだから。という思いも込めて。

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マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 他に会社に再就職して、 親の老後資金と自分の為に 働きながら漫画を描いております。 どうかお力添えをよろしくお願いします。 拡散などをしていただけると非常にありがたいです。
マーティー木下

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マーティー木下の代表作 自称いけづらの浅間君が主人公の漫画です。
いけづらってなんだろ、いけづらってなに。 自称いけづらの浅間愁と周りが繰り広げるぐだぐたコメディ漫画です。 短いページ数ですので、是非気軽にお読みください。

池面ーいけづらーhttps://mkinoshita-home.com/?p=908


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。
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少年、増田 輝希(ますだ てるき)は天使に取り憑かれていた。
「ご主人〜」
そう可愛らしい声で彼を呼ぶのは天使のミカ。
薄桃色のショートボブの少女だった。
「増田のマスター」
その隣で不機嫌そうに呟くもうひとりの天使レミ。
小麦色の褐色肌、さらっした黒の長髪を風になびかせていた。
この二人はタイプは違えど共に整った容姿をしており、何も知らない人がみれば羨むような状況だろう。だが、当の本人輝希の顔は浮かない。彼は二人の天使を交互に見て思うのだ。
一体、なんでこんな事になってしまったのかと。

*少年と天使が織りなすラブコメディです。

2011年頃に書いた作品になります。拙い作品ですがよろしくお願い致します。


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。

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禄那(よしな)市立美咲(みさき)高等学校に通う一年生・真木真子(まきまこ)。
毎日をぼんやりと過ごしていた彼女の前に、
ある日突然現れた先輩・椎野実(しいのみのる)。そして彼は戸惑う真子にこう言い放つ。
「ボランティア部に入ってくれ!!」

*ボランティア部を舞台にしたラブコメ作品です。2010年頃に書いた作品になります。
データが残っていたので、せっかくなのでサイトに順次掲載していきたいと思います。
めちゃくちゃ拙いですがよろしくお願いします。

https://mkinoshita-home.com/?p=2446
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