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オリジナル小説 ボラ魂3ー8

完全に拗ねた実。よく解らないことを言って柚菜を挑発する。すると柚菜は実を見下ろし、恐怖さえ感じる程のニッコリなスマイルで、

「ええ、てめぇみたいなクズはいらねえから、さっさと帰れよ」

「ちっくしょーー!! そんなツンツンした態度も大好きだぜっーー!!!」

 大声をあげ教室を去って行く実。手には鞄。顔には笑顔。頬には涙。全速力で夕暮れの廊下を駆けていった。残された二人は途方に暮れ沈黙。そして先に口を開いたのは柚菜。淡々とした口調で、

「……少しイジメ過ぎたかしら」

「はい……よく解らないことになってましたね。何気にうるせーって言われましたし」

「まあ、明日には治っているでしょ。さて、じゃあ私達も解散しましょう」

「あ、今日はもう終わりですか?」

「ええ。実がいないと次の予定も決められないしね」

「はあ。一応当てにはしてるんですね」

「いえ、勝手に決めるとまた駄々をこねだすから」

「ああ。じゃあ決めない方がいいですね」

「でしょ? だから今日は解散」

「そうですね。帰りますか」

「ええ。まあ私はここで本をもう少し読んでいくから残るわね」

「わかりました。じゃあ、先に失礼しますね」

「ええ、」

 席から立ち上がる真子。横に掛けてある鞄を手に取ろうとする。すると柚菜は柔らかな口調で、

「お疲れさまーー真子」

 真子は鞄へと伸ばした手をピタッと停止。顔を上げて茜色に染まった柚菜の顔を見つめる。そして間抜けな声で、

「え? 今、名前で呼びました?」

「くす。さあ? どうかしら?」

「いやでも明らかに真子って」

「いえ、言ってないわよ。真子」

「あっ、ほら。またっ」

「ふふっ。名前を呼ばれたぐらいで嬉しがるなんてカワイいわね」

「むう……もしかしてまたからかっているんですか」

「ふふ。どうかしら?」

 そう言ってイタズラな笑みを浮かべる柚菜。明らかに楽しんでいる様子だ。どうやらまた茶化されているらしい。真子は拗ねたように下を向いて小声で、

「む〜……打ち解けられたのかと期待したじゃないですか」

「あら? 何か言った?」

「ふんっ。なんでもありませんっ。もう帰りますねっ」

 イジけてそっぽを向いた真子。鞄を左肩にかけて教室を後にしようとする。柚菜はその背中に微笑みながら、

「そう。じゃあまたね。真子」

「……はい」

 それでもやっぱり嬉しくて顔を赤くした真子。柚菜を振り返らずに小さく呟く。そして扉を引いて教室を後にした。

「ふふ……なんか悪い気分じゃないな」

 今日はなんだかんだで上手くやれたのかもしれない。そんな事を思いながら千佳子へメールを打ちつつ、夕暮れの廊下を上機嫌で歩いて行った。

 “おまけ ”

 その日の夜。時刻は八時。真子は自室の勉強机に座りながらふと疑問に思う。

「あれ? そう言えば次はいつ部活なんだろ?」

 すっかり聞き忘れた次回の日時。だがそれは明日の朝にでも部室を訪れれば解ることだ。大した問題ではない。しかし真子は携帯を開き、

「せっかくだからかけてみようかな」

 微笑みながら真子は思う。柚菜先輩に電話で聞いてみよう、と。きっと柚菜は真子から電話をしてくるとは思っていないだろう。だから彼女がどういう反応をするか興味が湧いてきたのだ。

「ふふ。よし」

真子はイタズラな笑みを浮かべながら携帯の通話ボタンを押す。そして耳を近づけると、

『金を出せ金を出せ金を出せ金を出せ金を出せ金を出せ』

「怖っ!! 何この待ちうた(?)!!」

 いきなり恐喝された。野太い男の声がエンドレスで続く。

あまりの恐怖にすぐに通話終了。思わぬ不意打ち。さすが柚菜だ。と変な感心さえ覚えてしまう。真子は苦笑いを浮かべながら、

「……なんか、ほんと不思議な人だよなぁ……」

 溜め息混じりにそう呟いて、真子は携帯を閉じた。

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マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 他に会社に再就職して、 親の老後資金と自分の為に 働きながら漫画を描いております。 どうかお力添えをよろしくお願いします。 拡散などをしていただけると非常にありがたいです。
マーティー木下

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マーティー木下の代表作 自称いけづらの浅間君が主人公の漫画です。
いけづらってなんだろ、いけづらってなに。 自称いけづらの浅間愁と周りが繰り広げるぐだぐたコメディ漫画です。 短いページ数ですので、是非気軽にお読みください。

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小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。
オリジナル小説エンジェルゲートあらすじ

少年、増田 輝希(ますだ てるき)は天使に取り憑かれていた。
「ご主人〜」
そう可愛らしい声で彼を呼ぶのは天使のミカ。
薄桃色のショートボブの少女だった。
「増田のマスター」
その隣で不機嫌そうに呟くもうひとりの天使レミ。
小麦色の褐色肌、さらっした黒の長髪を風になびかせていた。
この二人はタイプは違えど共に整った容姿をしており、何も知らない人がみれば羨むような状況だろう。だが、当の本人輝希の顔は浮かない。彼は二人の天使を交互に見て思うのだ。
一体、なんでこんな事になってしまったのかと。

*少年と天使が織りなすラブコメディです。

2011年頃に書いた作品になります。拙い作品ですがよろしくお願い致します。


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。

オリジナル小説ボラ魂あらすじ

私、真木真子は努力が嫌いだ。
禄那(よしな)市立美咲(みさき)高等学校に通う一年生・真木真子(まきまこ)。
毎日をぼんやりと過ごしていた彼女の前に、
ある日突然現れた先輩・椎野実(しいのみのる)。そして彼は戸惑う真子にこう言い放つ。
「ボランティア部に入ってくれ!!」

*ボランティア部を舞台にしたラブコメ作品です。2010年頃に書いた作品になります。
データが残っていたので、せっかくなのでサイトに順次掲載していきたいと思います。
めちゃくちゃ拙いですがよろしくお願いします。

https://mkinoshita-home.com/?p=2446
https://mkinoshita-home.com/?p=2975
https://mkinoshita-home.com/?p=3088
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