オリジナル小説

オリジナル小説 ボラ魂4−9

「ん?」

 意味が分からず思案する真子。すると左側から小声で千佳子が、

「ほら、真子だけは全員と知り合いっていう設定だから、率先して話を振った方がいいんじゃない?」

「え? ああ、そういう意味か。ごめんごめん」

 確かに設定上ここの全員と面識があるのは私だけだな。と真子は状況を再認識。あれ? 別に設定じゃなくてもそうじゃん。とも思ったが今はそんな事はどうでもよかった。真子はコホンと咳払いを一回して不自然な演技で、

「え、えっと……遅かったじゃん、何かトラブルでもあったの?」

「いや〜誰を真木狙いにするか押しつけあってたらーーごめんなんでもない。ただクソしてただけだよ」

「嘘つけ。今なんか言いかけたぞクソ野郎」

「いや〜マジなんでもねえし〜。なあお前等〜?」

「そうそう〜。挙げ句には乱闘が起きたとかそんな事は全然ねえし〜」

「ああ、最終的に俺の肋骨が逝きかけたとかマジ事実無根だし」

「死闘をするほど嫌なのか……まあ何でもいいけどさ」

 裏で散々な扱いを受けていた真子。まあ別にこいつらに好かれても意味ないよな。と割り切って怒りを抑える。岡崎は特に悪びれた様子もなく、

「そうそう。別にそんなんどうでもいいって。それより今日は合コンだぜ〜。ヒュ〜!」

「うん。そうだね」

「だろ? だからそこの可愛い水澄と葉月が誰なのか紹介してくれよ。俺達は何も知らないわけなんだからさ」

「今メチャクチャ名字言った気がしたけど?」

 テンションが高まり過ぎた岡崎。思わず初対面の設定なのに二人の名字を言ってしまう。ヤベェ。岡崎はそう思い激しくテンパりながら、

「は〜? バカ言ってねぇしバ〜カ。マジ言ってねぇし」

「バカバカ言い過ぎよバカ」

「いやいやお前の方が言ってるし〜。そういうのはマジいいから紹介しろだし〜」

 顔面をブン殴りたいほど憎たらしい顔をする岡崎。だがイチイチ相手にしていても疲れるだけだ。そう自分に言い聞かせて真子は沸き上がる怒りを抑えながら、

「はいはい。解りましたよ。この二人はね……え〜と、」

 そこで言葉に詰まる真子。ん? そう言えばこの二人は何て説明すればいいんだ? と困惑してしまう。すると右前から柚菜の左腕が差し出されてきた。その手にはクッリプボード。完全に読書に没頭したかと思っていたがちゃんと場の様子も見ていたようだ。柚菜は本に目を向けたまま、

「真子。これを使いなさい」

「あ、はい。どうもです」

 そう言いクッリプボードを受け取る真子。そこにはその他の設定みたいなものが書かれていた。真子は内容をよく見ないまま、

「え〜と、この二人は私の友達で “私立遺伝仕組人間学園”の美子と千佳子ーーってなんだこれっ!?」

「あは〜。何だか私達すごいトコに進学した事になってるね〜」

「って言うかこれ柚菜さんの好きなバンドの捩りじゃない?」

「ええ。そうよ。素晴らしい人材を輩出しそうな名前でしょ?」

「まあ奇抜な感性は持ちそうですよね……」

 そう言い苦笑する真子。どうやら柚菜お気に入りのバンド“遺伝子組替人間集団いでんしくみかえにんげんしゅうだん”を捩ったらしい。学校と言うか怪しい宗教団体みたいな名前だな。と真子はなんとなく思う。岡崎達はさらにハイテンションになり、

「ふぅー! おっけーい! なんとか学園の美子ちゃんと千佳子ちゃんねっ。よろしくっふぅー!!」

「よろしくー!!」

「チョリーッス!!」

「うん。よろしくねー」

「あは〜。なんだか初めて同じ班になった時みたいだね〜」

「うん。合コンっていうか普通に教室にいるみたいだよね。まあ実際そうなんだけどさ」

 千佳子の意見に同感する真子。確かにこうして自己紹介紛いの事をすると、千佳子達と初めて一緒の班になった事を思い出す。あの時はいきなり岡崎が下ネタ言い出して大変だったな。と真子は思い出し苦笑。岡崎達はノリノリで、

「おーし。じゃあ次は俺達も自己紹介しちゃおうかな〜」

「おうっ! リーダー言ったれ! 言ったれ!」

「イカした一発を頼みまっすわ!」

「ふ。任せておけ」

 そう言い気取った笑顔を見せる岡崎。立ち上がり一呼吸置く。そしてキリっとした表情で、

「美咲高校一年の岡崎蓮弥。身長175。アソコもデカイです!」

「また下ネタだった!!」

 性懲りもなく以前と同じような自己紹介をした岡崎。そこで実は指を組みながら貫禄ある表情で、

「素晴らしい。自己紹介からの下ネタ。彼は天才だよ。柚菜。彼に100Ptをあげてくれ」

「ええ。私は不快だったからその後にマイナス100Ptしておくわ」

 いきなり採点を始める二人。よく解らないが加点式でモテ力を測るらしい。そして今のは実的にはかなりの高評価のようだ。すると千佳子が純粋無垢な笑顔を浮かべて、

「あは〜。岡崎君。アソコってどこ?」

 どうやら本気でアソコが何なのか分かっていない様子だ。岡崎のクズ。千佳子の前で変な事を言いやがって〜。真子はそう思いながら岡崎に対してアイコンタクトで、

 “岡崎。上手く誤摩化さないと、殺すから ”

 “真木。任せておけ。ここで小洒落たジョークを噛ましてやるぜ”

 そう目配せする岡崎。そして自信満々に、

「そんなんどこってもちろんーーモロチンだ」

「小汚いジョーク出ちゃった!!」

ABOUT ME
マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 漫画が好きです。コンビニも好きです。
マーティー木下

この度はこのようなクソ底辺web漫画家のサイトにお越しいただきありがとうございました。
オリジナル漫画は下記リンクから飛べますので是非ごらんください。

外部サイトではジャンプルーキーでメインに活動しておりますのでよろしければご覧ください。

https://rookie.shonenjump.com/series/pGBIkZl4AbQ
ジャンプルーキー連載ページ
マーティー木下の代表作 自称いけづらの浅間君が主人公の漫画です。
いけづらってなんだろ、いけづらってなに。 自称いけづらの浅間愁と周りが繰り広げるぐだぐたコメディ漫画です。 短いページ数ですので、是非気軽にお読みください。

池面ーいけづらーhttps://mkinoshita-home.com/?p=908


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。
オリジナル小説エンジェルゲートあらすじ

少年、増田 輝希(ますだ てるき)は天使に取り憑かれていた。
「ご主人〜」
そう可愛らしい声で彼を呼ぶのは天使のミカ。
薄桃色のショートボブの少女だった。
「増田のマスター」
その隣で不機嫌そうに呟くもうひとりの天使レミ。
小麦色の褐色肌、さらっした黒の長髪を風になびかせていた。
この二人はタイプは違えど共に整った容姿をしており、何も知らない人がみれば羨むような状況だろう。だが、当の本人輝希の顔は浮かない。彼は二人の天使を交互に見て思うのだ。
一体、なんでこんな事になってしまったのかと。

*少年と天使が織りなすラブコメディです。

2011年頃に書いた作品になります。拙い作品ですがよろしくお願い致します。


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。

オリジナル小説ボラ魂あらすじ

私、真木真子は努力が嫌いだ。
禄那(よしな)市立美咲(みさき)高等学校に通う一年生・真木真子(まきまこ)。
毎日をぼんやりと過ごしていた彼女の前に、
ある日突然現れた先輩・椎野実(しいのみのる)。そして彼は戸惑う真子にこう言い放つ。
「ボランティア部に入ってくれ!!」

*ボランティア部を舞台にしたラブコメ作品です。2010年頃に書いた作品になります。
データが残っていたので、せっかくなのでサイトに順次掲載していきたいと思います。
めちゃくちゃ拙いですがよろしくお願いします。

https://mkinoshita-home.com/?p=2446
https://mkinoshita-home.com/?p=2975
https://mkinoshita-home.com/?p=3088
こちらもよろしくお願いします
エンジェルゲートサムネ オリジナル小説

オリジナル小説 エンジェルゲート第3章ー9

2023年2月6日
3億円詐欺られたweb漫画家・マーティー木下の部屋
「……ですよね」 「何かいいました?」 「いや別に、ってか違うよ、レミにあげるのはこのイヤホンだけだよ」 「じゃあなんで買うんですか、素直に白状しないとこの後の …
オリジナル小説

無料オリジナル小説 ボラ魂 1ー4

2023年4月22日
3億円詐欺られたweb漫画家・マーティー木下の部屋
        ★  美咲高校から、徒歩十五分程の住宅街。グレー色の一軒家。洋式二階建て。中々立派。真子の家。 「ただいま……」  学校から走り続けた真子。疲労 …
エンジェルゲートサムネ オリジナル小説

オリジナル小説 エンジェルゲート第2章ー4

2023年1月26日
3億円詐欺られたweb漫画家・マーティー木下の部屋
ツッコミ癖が完全に仇となった。レミは珍しく本気で怒った様子だった。そして再びチクワというか鈴木に向けて、 「ええ、常に下界の死を探索している機械で、活動の停止した生物、場合 …
オリジナル小説

無料オリジナル小説 ボラ魂2ー8

2023年5月14日
3億円詐欺られたweb漫画家・マーティー木下の部屋
「(ムカっ)まあ、確かにしつこい勧誘はなくなりそうですけどね……」 『だろ〜?』 「でも」 『でも?』 「それじゃ本末転倒すぎるだろぉ!! ばかぁ!!」  …
オリジナル小説

無料オリジナル小説 ボラ魂2ー20

2023年6月18日
3億円詐欺られたweb漫画家・マーティー木下の部屋
「ふう……」  テニス場近くの裏道。車一台やっと通れるぐらいの細道。電柱と塀に挟まれた窮屈な所。真子はそこを歩いていた。自転車を押しながらトボトボと。時折、風でデニムのスカ …
オリジナル小説

オリジナル小説 ボラ魂4−15

2024年10月6日
3億円詐欺られたweb漫画家・マーティー木下の部屋
 二人の意見を聞いて岡崎達の方を向き直す真子。ホラ見ろ。といった様子で、 「っていうことよ。だからこれ以上アンタ達に付き合うつもりはないわ。ほら行こう二人とも」  ジ …
エンジェルゲートサムネ オリジナル小説

オリジナル小説 エンジェルゲート第4章ー22

2023年4月2日
3億円詐欺られたweb漫画家・マーティー木下の部屋
「急に、何を?」  立ち止まりこの場に相応しくない落ち着いた態度で話し始めるレミ。狙いは時間稼ぎか、それとももう闘いを諦めてしまったのだろうか。だがレミの目はジッとイワンを …
エンジェルゲートサムネ オリジナル小説

オリジナル小説 エンジェルゲート第1章ー7

2023年1月24日
3億円詐欺られたweb漫画家・マーティー木下の部屋
 聞き慣れないゲームのような単語が複数出て来たが、二人に冗談を言っている様子はない。輝希は頭を整理しながら、 「とにかく君達が天使だってのはわかったよ。僕の魂を迎えに来たっ …

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です