オリジナル小説

オリジナル小説 エンジェルゲート第1章ー16

「ぶ〜。私は絶対レミちゃん狙いだと思ったんだけどな〜」

「僕はミカも可愛いと思っているよ」

 なんだ〜、といった様子で頬を膨らませるミカ。そんな彼女に対して輝希は優しく微笑みかける。それはこの一ヶ月で手に入れた知恵だった。正直この二人とまとも会話をしても拉致があかない。いつのまにか話がどんどん脱線してしまうのだ。ならいっそ、と思いついたのがこの作戦。相手の予想だにしない発言で先に場をかき回す→そのまま話の主導権を握るというプラン、もう君達に振り回されるばっかのぼくじゃないぞ、という意思表明だった。だが、

「やめて下さい。気持ち悪い気持ち悪い。ほんとやめて下さい」

 顔を真っ青にしてしきりに拒絶するミカ。その表情はどう考えても演技には見えない。もっと照れるとかそういうのを期待していただけに、それは予想以上の反応だった。だが負けじと輝希は笑顔を崩さぬまま、

「……そんなに嫌かい?」

「増田さんはやさしいし何でも言う事を聞いてくれるので好きですけど、男性として考えると……催すものがあります」

「ごめん。もうやめるから。ごめん。だから絶対吐かないでね」

 うっぷと言いながら口元を手で押さえるミカ。まさかここまで拒絶されるとは。彼女の反応があまりにもだったために周囲の人も『おい、あいつ女泣かせてやがるぜ』『あんな可愛い娘を〜? 最低だなあいつ』と呟き輝希に批難を浴びせている。ミカを黙らせる必殺技を取得したが、あまり使わない方がいいなと思う輝希だった。

「まあそう落ち込むな。君はその蛍とやらが好きなのだろう。堂々と二股をかけようとするのはよくないぞ」

「いや、まあ別に蛍とも付き合っているわけじゃないけど……というか今のは冗談だからね。気にしないで」

「そうか。君は冗談で人にそんな事を言うのか。覚えておこう」

「増田さいて〜」

 二人して輝希をバッシング。ミカは珍しく増田と呼び捨てにして、まだ優れない顔色をしながら手を上げ抗議している。やはり慣れない事を言うものではない。どんどん事態は面倒になっていく。

「ところで、その蛍はどんな女性なんだ? 詳しく教えてくれ」

「えっ、別にいいけど、どうして?」

 レミが思いの外興味津々だったので思わずその理由を聞いてしまう。すると、

「いやそれと正反対にするから。増田のストライクゾーンから完全圏外になるために知りたいんだ」

「さいですか」

 聞くんじゃなかった。

「えっと、そうだな」

 とは言えどんな子と聞かれてどう答えればいいのか。ずっと一緒だったのであまり深く考えた事はないから、とにかく居心地の良い一緒にいて安心できる少女。というのが正直な感想だった。とりあえず見た目とおおまかな性格を答えればいいのだろうか。そう思い、

「一言で言うとボーイッシュな子なんだよね。髪はミカよりももっと短い前下がり? のショートカットでさ、」

 てくてく。語りながら歩く輝希。あまり説明が上手な方ではないので言葉を探すのに夢中になっている。だから彼は気付かなかった。こちらをジッと見つめる視線に。

「顔もそれが似合う少年顔でさ、で目はレミよりちょっとキツい感じのつり目。服も意識してるのかそういう感じのが多くてさ。スカートなんてこの前初めて見たぐらいなんだ。生まれて初めてだよ?」

 しかし美少女二人を連れている輝希を見つめる者達などその場には何人もいた。が、それとは違う視線が一つだけあったのだ。その思いは羨望、嫉妬、興味、といった他のギャラリーが浮かべるものとは違うもの。でもそれは肝心の彼にはずっと届かなくて。

「丁度あんな感じの人ですよね?」

 とレミはそこまで聞いて目の前を指差した。群衆の中で一人だけ立ち止まっている少女をだ。その子はまるで輝希達が来るのを待っているようでもあった。そしてその子はまるで今言った言葉で構成されたような子で、

「そうそう丁度こんな感じの」

「輝、だよね? 今帰りなの?」

「……」

 ミカよりもっとスッキリした前下がりショートカット、レミより細い奥二重な瞳にそれがしっくりくる少年顔、血を吐いたクマみたいなキャラがプリントされたパンクなTシャツ、紺のボーイフレンドデニム、まるでいつも見慣れている様な赤のスニーカー。すごいやレミさん、ホントこんな感じだよ。

 てか本人じゃん。

「あ、あの蛍、これはだよ、これは」

 まさかの本人登場でした。慌てて言葉を紡ごうとする輝希。だが声は上手く発せず、脳は緊急事態に対して全く約に立たなかった。とりあえずこの二人について説明しなければ。輝希はすぐさまそう思ったのだが、彼はバッ、バッとレミとミカを交互に見る事しか出来ず上手い言い訳が全く思い浮かばない。

「ほうこれが蛍か」

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マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 他に会社に再就職して、 親の老後資金と自分の為に 働きながら漫画を描いております。 どうかお力添えをよろしくお願いします。 拡散などをしていただけると非常にありがたいです。
マーティー木下

この度はこのようなクソ底辺web漫画家のサイトにお越しいただきありがとうございました。
日常のつぶやきみたいな記事が多いので気軽に読んでください。

オリジナル漫画は下記リンクから飛べますので是非ごらんください。

マーティー木下の代表作 自称いけづらの浅間君が主人公の漫画です。
いけづらってなんだろ、いけづらってなに。 自称いけづらの浅間愁と周りが繰り広げるぐだぐたコメディ漫画です。 短いページ数ですので、是非気軽にお読みください。

池面ーいけづらーhttps://mkinoshita-home.com/?p=908


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。
オリジナル小説エンジェルゲートあらすじ

少年、増田 輝希(ますだ てるき)は天使に取り憑かれていた。
「ご主人〜」
そう可愛らしい声で彼を呼ぶのは天使のミカ。
薄桃色のショートボブの少女だった。
「増田のマスター」
その隣で不機嫌そうに呟くもうひとりの天使レミ。
小麦色の褐色肌、さらっした黒の長髪を風になびかせていた。
この二人はタイプは違えど共に整った容姿をしており、何も知らない人がみれば羨むような状況だろう。だが、当の本人輝希の顔は浮かない。彼は二人の天使を交互に見て思うのだ。
一体、なんでこんな事になってしまったのかと。

*少年と天使が織りなすラブコメディです。

2011年頃に書いた作品になります。拙い作品ですがよろしくお願い致します。


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。

オリジナル小説ボラ魂あらすじ

私、真木真子は努力が嫌いだ。
禄那(よしな)市立美咲(みさき)高等学校に通う一年生・真木真子(まきまこ)。
毎日をぼんやりと過ごしていた彼女の前に、
ある日突然現れた先輩・椎野実(しいのみのる)。そして彼は戸惑う真子にこう言い放つ。
「ボランティア部に入ってくれ!!」

*ボランティア部を舞台にしたラブコメ作品です。2010年頃に書いた作品になります。
データが残っていたので、せっかくなのでサイトに順次掲載していきたいと思います。
めちゃくちゃ拙いですがよろしくお願いします。

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