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無料オリジナル小説 ボラ魂2ー4

昼休み。B棟三階。手芸部室。教室全面に手芸部の作品が置かれた、非常にファンシーな部屋だ。中には真子と千佳子の二人。中央の机をくっつけ、向かい合わせで椅子に座る。机の上には二人の弁当箱と水筒。昼食は手芸部でまったりと食べる。それが彼女達の日課だった。

「へぇ〜、またなんか色んなの増えてるね〜」

 箸を持ちながら、真子は感心するように囁く。目線の先には、タペストリー、編み物、ぬいぐるみ等、様々な物があった。

「うん〜、あっそうだ。あれ見て〜、私が造ったんだよ〜」

 千佳子は近くの展示ケースを指差す。その先には、何かヒトデの様な物があった。

「新作ぬいぐるみの“さざんくろす“だよ〜」

「おぅっ」

 “さざんくろす”はとても奇抜な形をしていた。白い星形の身体、飛び出た丸目、三つ指の手足、お茶目に舌を出した口。一言でいえばとても不気味。真子は引きつった笑顔で、

「なんてゆーか、超ち〜こっぽいね……」

「へへへ〜〜、でしょ〜〜」

 千佳子はカワイイもの好き。裁縫技術も高い。だが価値観のズレだろう。時々こういったレア・クリチャーを生み出す。

「ははは……う〜ん」

 真子は反応に困って再び苦笑い。そして気を取り直して弁当に手を付ける。母親お手製の栄養バランス弁当だ。

「あ〜、真子のからあげ美味しそ〜。交換しよ〜〜」

「いいよ〜。じゃあ、ち〜このウインナー頂戴〜〜」

「あい〜〜」

 千佳子のピンクの弁当箱へと箸を伸ばす。真子はそこから犬を模したウインナーを掴み上げる。そして感心したように、

「ち〜この弁当、今日も凝ってるね〜」

「うん〜、今日のキャラ弁自信作なんだ〜」

 中身を改めてよく見る。パンダおにぎり、星型の卵焼き、にんじんのウサギ、他にも細かな工夫が、数々みられた。

「ほぉ〜、よく出来てるね〜。むっ、ウインナーうまっ」

 たわいのない会話。いつもの日常。だったが、突然部屋の扉が開き、

「ふぅ〜午前中疲れた〜」

「実はほとんど寝てたよね?」

「なっ」

 日常崩壊。なぜか実と柚菜が来た。昼食(柚菜はパン、実は弁当)を持って。近場の椅子を運び、そして当然のように真子達の近くに座る。

「あっ千佳子の弁当美味そう。俺のワケノシンノスの味噌煮と交換しよ〜」

「あっ先輩〜、いいですよ〜でもワケノ〜シンノ〜スって何?〜」

「イソギンチャクだよ」と柚菜。

「へぇ〜デロンデロンしてる〜。ところで先輩は誰なんですか〜」

「私は柏木柚菜。実のクラスメイト。よろしく」

「へぇ〜よろしくです〜」

「千佳子、こいつ自分のまな板がコンプレックスだから、巨乳には冷たいけどよろしくな」

「実、ご飯食べ終わったら、静かなとこ行こっか」

「ってなんでいるんですかっ、しかも普通にご飯食べてるし! 馴染んでるし!」

 たまらず真子はツッコむ。だが実は以前マイペースで、

「いや〜だって、ゆっくり勧誘出来るのって昼休みぐらいじゃん? 昨日も急に帰っちゃうしさ〜」

「いや、別にゆっくり勧誘されても入りませんからっ」

 実は両手を合わせて、

「そこを頼むよ〜〜ボランティア部に入ってくれよ〜。ほら柚菜からも〜」

「別に、本人が入らないって言ってるからいいんじゃない?」

「そんなドライなぁ〜」

「っていうか、なんで楠先輩までいるんですか?」

 真子は露骨に不機嫌そうに訪ねた。対する柚菜も機嫌悪そうに、

「実に頼まれて仕方なく、ね」

 真子は嫌み全開笑顔で対抗。

「へぇ〜、それは災難でしたね〜」

「うん、ホント迷惑。二人ともね」

「ムカっ!」

 昨日のように、陰険な空気が漂う。そしてそれを破ったのは、甘くおっとりした声。

「はぇ〜、よくわかんないけど、真子ボランティア部に入るの〜? というかそんな部あったけ〜?」

「うん。まあ部じゃないんだけどね。あと別に入らないから」

「だけどお前って、テニス部をやめて今、フリーなんだろ?」

「う、まあ、そうですけど」

 実に痛い所を突かれ、竦む真子。確かに真子はテニス部に所属していた。ダブルスで夏の大会に出場。四回戦敗退。成績は、初めてにしては上出来。でも中途半端な成績に、逆に冷めてしまった。翌月には退部。仲の良かったペアとは、喧嘩別れで疎遠になってしまった。

 竦む真子に、チャンスとばかりに攻め込む実。

「じゃあ、入ってもいいんじゃねっ?」

「いや……部活ってのが、まず性に合わないみたいなんで……」

「そんなん、絶対後悔させないって。それに経験者がいてくれた方が助かるしっ」

「っ、でも……」

「なんでそんな嫌なんだ?」

「その、なんて言うか、」

 言い淀む真子。でも素直な思いを口にする。

「正直……ボランティア部に、いい思い出がないんですよ……」

「中学の事か? でも俺たちは真面目にやってるぜっ」

「でも……」

「そんなん大した事じゃないって、悩みすぎだよっ。もう忘れちゃってさ〜」

「先輩には、解らないですよ……」

「若いな〜、そう考えてる内はなにも変わらなーー」

「っ! いいかげん、もう諦めてください!」

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マーティー木下@web漫画家
web漫画家です。 両親が詐欺被害に遭い、全てのお金と職を失いました。 3億円分程の資産を失いました。 借金は800万円程あります。 他に会社に再就職して、 親の老後資金と自分の為に 働きながら漫画を描いております。 どうかお力添えをよろしくお願いします。 拡散などをしていただけると非常にありがたいです。
マーティー木下

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マーティー木下の代表作 自称いけづらの浅間君が主人公の漫画です。
いけづらってなんだろ、いけづらってなに。 自称いけづらの浅間愁と周りが繰り広げるぐだぐたコメディ漫画です。 短いページ数ですので、是非気軽にお読みください。

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小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。
オリジナル小説エンジェルゲートあらすじ

少年、増田 輝希(ますだ てるき)は天使に取り憑かれていた。
「ご主人〜」
そう可愛らしい声で彼を呼ぶのは天使のミカ。
薄桃色のショートボブの少女だった。
「増田のマスター」
その隣で不機嫌そうに呟くもうひとりの天使レミ。
小麦色の褐色肌、さらっした黒の長髪を風になびかせていた。
この二人はタイプは違えど共に整った容姿をしており、何も知らない人がみれば羨むような状況だろう。だが、当の本人輝希の顔は浮かない。彼は二人の天使を交互に見て思うのだ。
一体、なんでこんな事になってしまったのかと。

*少年と天使が織りなすラブコメディです。

2011年頃に書いた作品になります。拙い作品ですがよろしくお願い致します。


小説家になろうにも掲載されている、私が昔書いたライトノベルの紹介です。

オリジナル小説ボラ魂あらすじ

私、真木真子は努力が嫌いだ。
禄那(よしな)市立美咲(みさき)高等学校に通う一年生・真木真子(まきまこ)。
毎日をぼんやりと過ごしていた彼女の前に、
ある日突然現れた先輩・椎野実(しいのみのる)。そして彼は戸惑う真子にこう言い放つ。
「ボランティア部に入ってくれ!!」

*ボランティア部を舞台にしたラブコメ作品です。2010年頃に書いた作品になります。
データが残っていたので、せっかくなのでサイトに順次掲載していきたいと思います。
めちゃくちゃ拙いですがよろしくお願いします。

https://mkinoshita-home.com/?p=2446
https://mkinoshita-home.com/?p=2975
https://mkinoshita-home.com/?p=3088
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